風営法で重要な「見通し」とは?1mルールと警察が確認するポイントを解説
風営法で重要な「見通し」とは?1mルールと警察が確認するポイントを解説

ガールズバー、キャバクラ、スナック、あるいはアミューズメントバーなどを開業する際、必ず確認しなければならないのが「風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)」に定められた構造基準です。
風営法の許可申請において、多くの方は「正確な図面を引く作業」が一番の難所だとイメージされるかもしれません。もちろん数センチ単位の測量や図面作成には専門知識が必要です。
しかし、実務において最も重要であり、かつ大きなトラブルに発展しやすいのは、図面作成そのものよりも「図面作成の前段階(内装工事や設備選びの段階)」における判断です。
例えば、店舗のコンセプトに合わせて設置した「高すぎるカウンター」や「デザイン重視のソファー」が、施工完了後や警察の実査(現地確認)の段階になって「風営法の基準を満たしていない」と指摘されるケースが後を絶ちません。その結果、結局内装を壊して施工し直したり、せっかく購入したイスやテーブルを買い替えたりしなければならないなどの最悪なパターンに陥ってしまう可能性があります。
この記事では、後からの施工やり直しを防ぐために絶対に知っておくべき風営法の「見通し(1mルール)」の基本から、警察が確認するポイント、そして施工前に注意すべき設備選びや客室区分の考え方について詳しく解説します。
これからナイトビジネスを始めようとしている方に、参考にしていただけると幸いです。
1|なぜ「施工前の設備選び」が風営法申請の成否を分けるのか?

風営法(深夜酒類提供飲食店(深夜営業)、接待を伴う飲食店(風俗営業)、特定遊興飲食店など)では、客室内の構造に関して厳格なルールが設けられています。その中心となるのが「客室の見通しを妨げる設備を設けてはならない」という規定です。
「1mルール」の基礎知識
風営法における「見通し」の基準として、いわゆる「1mルール」が存在します。
原則として、客室の内部に「床面からの高さが1メートル以上」となる構造物、設備、家具などを配置してはならないとされています。この規定の目的は、店内に密室や死角を作らせず、外部や従業員、警察官の視線が届く状態を保つことで、過剰な接待や違法行為を防止することにあります。
図面を描く前「家具・内装選び」の段階が最も重要な理由
ここが非常に重要なポイントですが、「1mを超えているかどうか」は、内装工事が終わり、イスやテーブルなどの家具を配置した後の状態(営業ができる状態)で計測します。
- 「見た目がおしゃれだから」と高さ1.2mのカウンターを施工してしまった
- 「座り心地が良いから」と背もたれの高いハイバックソファーを購入してしまった
- 「お客様のプライバシーを守るため」と高さ1.2mのパーテーションを取り付けた
このように、風営法の基準を知らずに内装工事や家具の発注を進めてしまうと、図面作成以前の問題として、その店舗構造自体が「風営法NG」になってしまいます。
風俗営業許可では警察による現地調査が行われることとなりますが、現地で指摘を受けてから「カウンターの天板を削って低くする」「ソファ一式を買い直す」といった事態になれば、余計な費用が発生するだけでなく、予定していたオープン日が何週間も遅れ、家賃や人件費が無駄にかかってしまう最悪のケースにつながってしまいます。
だからこそ、「イスやカウンターなどの設備は、あらかじめ1m以内のものを選ぶ」という図面作成の前段階での対策が何よりも重要なのです。
2|警察の「実査(現地確認)」でチェックされる具体的なポイント

風営法の申請書類を警察署へ提出すると、後日、警察官や浄化協会の調査員が実際に店舗へ来て、「実査(現地調査)」を行います。この実査において、警察が特に厳しく採寸・確認するポイントは以下の通りです。
① パーテーション・衝立・観葉植物の高さ
客席同士のプライバシーを保つために設置されがちなパーテーションや衝立(ついたて)は、真っ先にチェックされます。
- 床面からの高さが1mを超えていないか
- キャスター付きや移動可能な家具であっても置かれていないか
「固定していないから家具扱い」「観葉植物はインテリアだから構造物ではない」という主張は、通用しません。床から測って1mを超える障害物は、理由を問わず「見通しを妨げる設備」とみなされます。
② ソファーの背もたれとボックス席の形状
高級感を演出するためのソファーやボックス席も注意が必要です。 クッション部分の高さだけでなく、「床から背もたれの頂点までの高さ」が計測されます。ソファーの背もたれが1mを超えている場合、そのソファーは客室内に置くことができません。
3|「カウンターの高さ」の考え方と「客室の範囲」について

風営法の見通しにおいて一番判断が難しいのが「カウンターの扱い」です。
前述の通り、「1mルール」はあくまで客室の内部に適用されるものです。つまり逆を言えば、「カウンターを客室の『内部』に含めない(=客室の外として扱う)」という設計ができれば、理論上は1mを超える高さであっても問題ないということになります。
しかし、この「客室に含まれるかどうか」の判断基準がが曖昧です。※基本的にカウンターまでが客室に含まれるとされる場合が多いです。
以下、具体例を出して説明します。
例:高さ1.2mのバーカウンターを作る場合
例えば、店内に高さ1.2mのおしゃれなハイカウンターを施工したい場合を考えてみましょう。床からの高さが1mを超えているため、そのまま客室内に置くと「1mルール違反」になります。
この場合、申請時に提出する図面の作り方として以下の2つのパターンが検討されます。
パターンA:カウンターを「客室内」の設備とする場合
カウンターを客室として扱う場合、1.2mの高さがあると見通しを妨げると判断され、不許可となる可能性が高いです。この場合は、カウンターを床から1m未満に下げて再施工し、図面も再作成しなければなりません。
パターンB:カウンターを「客室外」とする場合
カウンターを境界線とし、カウンターの内側を「調理場」、外側を「客室」と完全に分離します。カウンター自体は客室に含まれていないため、高さが1.2mあっても見通し違反にはなりません。
※基本的にカウンターはお客さんが使う部分として客室扱いとなるため、警察署によって認められる場合、認めれらない場合があります。
なぜ事前確認なしの施工が危険なのか?
「じゃあパターンBの作りで施工すれば1.2mのカウンターでも大丈夫だな」と自己判断して施工を進めるのは非常に危険です。
なぜなら、警察や公安委員会の解釈によっては、以下のような理由でパターンB(境界線としての扱い)が認められないケースがあるからです。
- カウンター越しに接客を行う業態(キャバクラやガールズバー等)である場合 ⇒「カウンターの上も接客空間の一部であり、客室から排除することは実態と異なる」と判断されることがある。
このように、「1.2mのカウンターが認められるかどうか」は、店舗の業態、開口部の有無、さらには管轄する警察署の判断によって変わるのです。事前に確認せず施工してしまうと、後から「カウンターを削るか、下げる工事をしてください(若しくは、床を上げる)」と言われ、多大な工事費用が無駄になってしまいます。
4|すでに1mを超えるカウンターや家具がある場合はどうする?

ここまで、「1mルール」について解説してきましてが、 「そもそも既に契約した居抜き物件が1m以上のカウンターで施工されていた…」 「よく分からずにソファーやイスを買ってしまったが、測ったら1mを超えていた…」 など、これから工事するのではなく「申請前の段階で初めてルールを知って困惑している」という方もいらっしゃるかと思います。
「再施工や、家具の買替えをしないとダメなのか…」と絶望する必要はありません。結論から言うと、「そのカウンターやイスのまま」でも申請が通る可能性は十分にあります!
諦めてすぐに壊したり買い替えたりする前に、検討すべきポイントや回避策がいくつか存在しますので、以下に解説します。
① 管轄警察署の「柔軟な判断」で通るケースもある
風営法において、「1メートル」という基準があるものの、実際の審査を行う警察署によっては、一定の柔軟な判断をしてくれるケースがあります。
- 「概ね1m」として許容されるケース 数センチ程度のオーバーであれば、素材のクッション性や実質的な視界の確保状況を考慮し、そのまま認められることがあります。
- 配置場所によって認められるケース 客室の中央ではなく「部屋の隅(壁際)」に配置された設備で、店内全体の視認性を遮っていない(見通しを妨げていない)と判断されれば、1mを超えていても不問とされることがあります。
このように、「1mを超えているから絶対不許可」と一概には言い切れないのが風営法の奥深いところでもあります。諦める前に、まずは一度管轄の警察署に聞いてみると良いでしょう。
② どうしてもダメな場合でも「解体・買い替え」以外の選択肢がある
もし警察に現状を話し、そのままでは難しいと言われた場合でも、すぐに多額な費用をかけて全交換や再施工をするのは待ってください。コストを抑えてクリアできる他の方法も検討してみましょう。
- ソファーや椅子の「脚」をカットする:木製・金属製の脚であれば、数センチ切断(カット)するだけで1m以内に収まり、買い替えを回避できる場合もあります。
- 床で高さを調整する:カウンター自体の高さを変えるのが難しい場合、スタッフ側や客席側の床面を上げることによって、物理的に高さを調整することができます。区画や見通しの基準を満たせる場合があります。
カウンターを削るより、費用も抑えられる可能性があります。
※事前に警察署へ確認をとってから進めるのが望ましいです。
1m超えの設備がもう既にある方が取るべき行動
「現状のままで行けるのか」「加工が必要なのか」を整理するための手順をまとめました。以下のステップに沿って確認を進めてみてください。
| ステップ | やるべきこと | 具体的な確認ポイント・アクション | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| STEP 1 | 正確な寸法計測 | 床面からカウンター天板・ソファー背もたれの頂点までの高さ正確に測る。 | 1m(1,000mm)を超えているか? |
| STEP 2 | 配置のチェック | その設備が「部屋の隅」にあるか、入り口やフロア全体から見て「見通しに影響がある場所に配置されているか」 | 見通しを遮っていないか? |
| STEP 3 | 管轄警察署へ相談 | 管轄の警察署へ見通しに含まれるか確認・事前相談する。 | そのままの状態で許可可能か? |
| STEP 4 | 簡易加工・部分改修の検討 | NGだった場合、ソファーの脚カット、天板調整、床のかさ上げ等で安価に解決できないか検討。 | なるべくコストを抑えて再施工・買い替え以外の方法で対応できるか? |
| STEP 5 | 買い替え・再施工(最終手段) | どうしても基準を満たせない場合は、最終手段として家具の買い替えや再施工を実施。 | 最小限の工事費用で済ませる。 |
このように、「1mを超えてしまっているから」とすぐに諦める必要はありません。
「自分の店の場合、このままでも通りそうか?」 「もしダメなら、一番安く済む修正方法はどれか?」
判断がつかない場合や、警察とのやりとりに不安がある場合は、施工や買い替えに踏み切る前にぜひ一度当事務所までご相談ください。
5|警察署ごとに異なるローカルルールと事前相談の重要性

風営法における「見通し(1mルール)」や「客室区分の判断」で最も重要なのは、法令のテキスト通りだけでは測れない「警察署(管轄)ごとのローカルルールや運用の違い」が存在する点です。
- A警察署では「カウンターの高さが1mを1cmでも越えれば、どのような構造でも客室内設備とみなしてNG」とする厳しい対応をとるケース
- B警察署では「厨房との境界線として明確に区分されていれば、1.2mのカウンターでもOK」とするケース
このように、同じ都道府県内であっても管轄する警察署によって判断の基準や指導の細かさが異なるのが実情です。「ネットで大丈夫と書いてあったから」「知り合いの店がこの高さで通っていたから」と鵜呑みにして施工してしまうと、ご自身の店舗の管轄警察署では一切認められず、施工し直し・家具買い替えという最悪のパターンに陥ってしまうリスクがあります。
内装工事・家具購入の「前」にご相談ください!
当事務所では、風営法の申請にあたり、図面作成だけでなく「施工前の設備選びの段階」からのご相談や、管轄警察署への事前確認も併せて行っております。
- 「選ぼうとしているカウンターやソファーの高さ(1mルール)で問題ないか不安」
- 「管轄の警察署がどのような解釈(1m超えの扱いなど)をするのかあらかじめ確認したい」
- 「施工後にダメだと言われて、工事をやり直すようなリスクを絶対に避けたい」
このような不安をお持ちの店舗オーナー様、施工業者様、デザイナー様のために、当事務所では事前のお悩みに関する無料相談を実施しております。
内装工事に着手してしまってからでは、修正に多額の費用と時間がかかってしまいます。ぜひ、「内装のデザインを決めている段階」「イスやテーブルを購入・注文する前」の早い段階で、お気軽に弊所までご相談ください。貴店のスムーズな許可取得とオープンに向けて、適切なサポートをさせていただきます。
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